Japanische Klassiker mit Furigana
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こうじょうさいぼう
工場細胞
小林 多喜二
Lesen Sie 工場細胞 (こうじょうさいぼう) von 小林 多喜二 (こばやしたきじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 91.234 Zeichen · 184 Bildschirme
十六
お君と河田が変なんだぜ。
集会の帰り、鈴木が不愉快げに云った。森本はフイに足をとめた。――彼は前から、工場でもお君にキッスをしたというものが二人もいるのを知っていた。然し、それは如何にもあのお君らしく思われ、不思議に気にならなかった。が、それが河田と! と思うと、彼は足元が急にズシンと落ちこむのを感じた。
――河田ッて、実にそういうところがルーズだ。
――…………。
然しそういう鈴木が本当はお君を恋していた。彼は自分の「最後の藁」がお君だと思っていたのだった。彼はもう警察の金を二百円近くも、ズル/\に使ってしまっていた。彼は自分の惨めさを忘れなければならなかった。あせった。然しそのもがきは彼を更につき落すことしかしなかった。足がかりのない泥沼だった。――そして、今、彼は最後のお君までも失ってしまった。何んのために、自分は「集会」であんなに一生懸命になったのだ! ――こうなって彼は始めて自分の道が今度こそ本当に何処へ向いているかを、マザ/\と感じた。夜、盗汗をかいたり、恐ろしい夢を見るようになった。
四五日してからだった。
――芳ちゃんが、とても誰かに参っちまってるのよ。