Japanische Klassiker mit Furigana
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こうじょうさいぼう
工場細胞
小林 多喜二
Lesen Sie 工場細胞 (こうじょうさいぼう) von 小林 多喜二 (こばやしたきじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 91.234 Zeichen · 184 Bildschirme
に上って行った。両側が廃品倉庫になって居り、箱が何十階のビルジングのように、うず高く積まさっていた。そこは暗かった。――女がキャッ! と叫んだ。そこへ来ると、誰か女によく悪戯した。
――この、いけすかない男!
――オイ、今日は……?
――今日? 約束があるの。
――本当か。何んの約束だ。誰と?
――これでも、ちァんとね。
――こん畜生!
其処では、何時でも手早い「やりとり」が交わされることになっていた。
職工はよく仕事をしながら、次の持場にいる女と夜会う約束をするために、コンヴェイヤーに乗って来る罐詰に、
「ハシ、六」
と書いてやる。男は手先きだけ動かしながら、その罐が機械の向うかげにいる女の前を通って行くのを見ている。女はチラッと見つけると、それを消して、そして男に微笑んでみせる。
――「六時、何時もの橋のところ」というのが、その意味だった。そういうのが幾組もある。
森本は顔をしかめた。こういう中から一体自分たちの仕事の仲間になってくれるようなものが、何人出るのだ。それを思うと、胸の下が妙に不安になり、落付けなくなった。
脱衣所の入口に掲示が出ていた。