Japanische Klassiker mit Furigana
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こうじょうさいぼう
工場細胞
小林 多喜二
Lesen Sie 工場細胞 (こうじょうさいぼう) von 小林 多喜二 (こばやしたきじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 91.234 Zeichen · 184 Bildschirme
それから、ソッと拳をあて、低く、こっちから、コツ、コツ、コツと三つほど打ちかえしてみた。――向うの音がとまった。こんな事をして、だがよかったろうか、森本はフトぎょっとした。しばらく両方がだまった。
コツ、コツ、コツ……。
又向うが打ち出した。が、今度はその打つ場所がちがっていた。彼はその方へ寄って行った。すると、其処から小さい光の束が洩れていた。何処の留置場でもよくあるように、前に入れられた何人かによって、少しずつ開けられたらしく、そこだけ小さく板がはげて、穴になっていた。――いゝことには、そこは表からは奥になっていた。彼は思いきって、その同じ場所をコツ、コツ、コツと、打ってみた。
低い声がそこから洩れてきた!
彼はソロ/\と身体をずらして穴の丁度、そこへ耳をあてた。
――ダ…………。
はっきりしなかった。何度も耳をあてかえ直した。
――ダレダ……。
「誰だ?」――然し、そういうもの自身が一体誰だろう。彼は口を穴に持って行った。
――誰だ?
ときいた。そして、直ぐ耳をあてた。相手はだまったらしかったが、少ォし大きな声で、
――ダレダ?
と繰りかえした。