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Japanische Klassiker mit Furigana

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こうじょうさいぼう

工場細胞

小林 多喜二

Lesen Sie 工場細胞 (こうじょうさいぼう) von 小林 多喜二 (こばやしたきじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 91.234 Zeichen · 184 Bildschirme

Aozora Bunko

風が頬の両側へ、音をたてゝ吹きわけて行った、その辺は皆見慣れた街並だった。

N駅に出る狭い道を曲がった時、自動車の前を毎朝めしを食いに行っていた食堂のおかみさんが、片手に葱の束を持って、子供をあやしながら横切って行くのを見付けた。

前に、俺はそこの食堂で「金属」の仕事をしていた女の人と十五銭のめしを食っていたことがあった。その時、多分いま前を横切ってゆく子供に、奥の方でコックがものを云っているのが聞えた。

「オヤ、この子供は今ンちから豆ッて云うと、夢中になるぜ。いやだなア!」

そんなことを云った。

すると、一緒にめしを食っていた女の人が、プッと笑い出して、それから周章てゝ真赤になってしまった。

俺はそれをひょいと思い出したのだ。すると、急にその女の同志に対する愛着の感じが胸をうってきた。その女の人は今どうしているだろう? つかまらないで、まだ仕事をしているだろうか。

自動車は警笛をならした。そこは道が狭まかったのだ。おかみさんはチョッとこっちを振りかえったが、勿論あれ程見知っている俺が、こんな自動車に乗っていようなぞという事には気付く筈もなく――過ぎてしまった。