Japanische Klassiker mit Furigana
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こうじょうさいぼう
工場細胞
小林 多喜二
Lesen Sie 工場細胞 (こうじょうさいぼう) von 小林 多喜二 (こばやしたきじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 91.234 Zeichen · 184 Bildschirme
山崎のお母さんは林檎や蜜柑を皿に一杯盛って出した。母が何時か特高室で会ったことのある子供を負んぶしていたおかみさんが、その蜜柑の一つを太い無骨な指でむいていたが、独言のように、「中にいるうちのおど(夫のこと)に一つでも、こんな蜜柑を食わせてやりたい……!」と云って、グズリと鼻をすゝり上げた。お前の母はこの前の様子とまるで異う態度にびっくりした。――と、この時今まで一口も云わずにいた上田のお母アが、皆が吃驚するような大きな声で一気にしゃべり出した。「んだとも! なア大川のおかみさん! おれ何時か云ってやろう、云ってやろうと思って待っていたんだが、お前さんとこの働き手や俺ンとこの一人息子をこったら事にしてしまったのは、この」と云って、お前の母を突き殺すでもするように指差しながら、「この伊藤のあんさんのお蔭なんだ。あんさんがこっちにいたとき、よく息子の進とこさ遊ぶに来る来ると思ってだら、碌でもないことば教えて、引張りこみやがっただ。腕のいゝ旋盤工だから、んでなかったら、どんどん日給もあがって、えゝ給料取りになっていたんだ。」――それは他の人もそッと持っていた気持だったので、室の中が急に、今迄とは変ったものになった。