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Japanische Klassiker mit Furigana

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たんていやわ

探偵夜話

岡本 綺堂

Lesen Sie 探偵夜話 (たんていやわ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 140.363 Zeichen · 277 Bildschirme

Aozora Bunko

持ち主が変わっても、その建物は大抵むかしのままであるから、依然として江戸以来の暗い空気に閉じられている。今ではおおかた切り払われてしまったが、その古い屋敷の土塀のなかには武蔵野以来の建物で、今日ならば差しづめ古樹保存の札でも立てられそうな大木が往来の上まで枝や葉を繁らせて、さなきだに暗く狭い町をいよいよ暗くしていた。昼でも往来の人は少ない。まして日が暮れると土地の人でもよんどころない用事のほかは外出しなかったらしい。現に僕も二月の午後八時ごろ、三番町から中六番町をぬけて麹町の大通り付近までくるあいだに、ひとりの人にも出逢わないで、ずいぶん怖いさびしい思いをした経験を持っている。そういう時代、そういう場所ではあるが、溝口医師は相当の病家を持って相当の門戸を張っていた。

門戸といえば、溝口医師の家は小さい旗本の古屋敷を買って、それに多少の手入れをしたもので、門の一方には門番でも住んでいたらしい小さい家があり、他の一方にも小さい長屋二軒が付いていたので、門番の小屋には抱えの車夫を住まわせ、他の長屋二軒は造作を直して、表から出入りの出来るように格子戸をこしらえ、一軒一円五十銭ぐらいの家賃で人に貸していた。