Japanische Klassiker mit Furigana
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ふたばていよだん
新編 思い出す人々
内田 魯庵
Lesen Sie 新編 思い出す人々 (ふたばていよだん) von 内田 魯庵 (うちだろあん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.401 Zeichen · 427 Bildschirme
こういう家庭に関聯した道徳上及び物質上の難関に苦みつつある一方には硯友社よりはむしろ『文学界』同人と親んで生に悶ゆる詩人の艱みに共鳴し、一方にはまた、今は全く韜晦して消息を絶ってしまったが、黒川文淵という一種異色ある思想家が同居していて朝夕互に偏哲学を戦わしていた。眉山は最早のんきに鼻唄を歌う春木町時代の眉山ではなかった。
眉山が一葉女史との浮名を歌われたのもその頃であった。この消息については余り精しくは知らぬが、眉山がしばしば一葉の家に出入したのは事実であって、ツマリ頻繁な交際と女に好かれそうな眉山の男振から附会した風説であったろう。が、眉山の美貌はその頃は生活の苦労に傷つけられて幾分か険しくなって来た。
富坂に住んだのはたッた一年かそこらで、眉山は終に債務のために世帯を畳むべく余儀なくされ、僅かばかりの身の廻りのものを友の家に預けて飄然として放浪の旅に上った。その時の道の記が『ふところ日記』となって後に発表されたのだが、当時の眉山の旅は『ふところ日記』に現れてるような暢気なものではなかったのだ。
三、四カ月経ってから眉山が帰って来たと或人から伝言された後、丁度初夏のフラネル時候であった。