Japanische Klassiker mit Furigana
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ふたばていよだん
新編 思い出す人々
内田 魯庵
Lesen Sie 新編 思い出す人々 (ふたばていよだん) von 内田 魯庵 (うちだろあん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.401 Zeichen · 427 Bildschirme
三
して野卑で、教養ある仏語が全く通じないという事や、仏蘭西の監獄が不整頓で不潔で、囚人の食事が粗悪で分量が少く、どの点から見ても日本の監獄以下であるという事や、何くれとなく仏蘭西を貶した話ばかりした。
「ただ仏蘭西の監獄で便利なのは差入の自由です。日本同様監獄の前に差入物屋があって、銭さえ出せばどんなウマイものでも、酒でも煙草でも買う事が出来ます。僕は余り酒を喫らんが、書物は格別持たず、面会に来るものはないし、退屈で堪らんから白葡萄酒を買ってゴロゴロしながらチビチビ飲む。三日で一本明けたが、終日陶然としてイイ心持でした。銭さえあれば仏蘭西の監獄はさほど苦しくない。当てがいの食物が足りなくても不味くても差入物屋から取りさえすれば相当な贅沢が出来ます。気楽に読書でもしていようてには仏蘭西の監獄は贅沢が出来て気が散らんから持って来いですよ。」
そんな話をして半日を何年ぶりで語り過ごした。
三
それから四、五日して銭湯で会った。魔子を伴れて洗粉や石鹸や七ツ道具を揃えて流しを取ったこの児煩悩のお父さんが、官憲から鬼神のように恐れられてる大危険人物だとは恐らく番台の娘も流しの三助も気が付かなかったろう。