Japanische Klassiker mit Furigana
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ふたばていよだん
新編 思い出す人々
内田 魯庵
Lesen Sie 新編 思い出す人々 (ふたばていよだん) von 内田 魯庵 (うちだろあん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.401 Zeichen · 427 Bildschirme
四
「お宅へ持ってらしって御覧なさいまし、」と頻りにいったが、野枝さんも今買って来たばかりでマダ読まないらしいので無理に押返した。
「夜警は大変ですワネ。家から椅子を持って参りましょうか。イクラもありますから。」
「イエ、家にも持ってくればあるんですが、面倒だもんですから。」
「そうですか。でもお草臥れでしょうネ。大杉も御近所同士で家の角へ夜警に毎晩出ておりますワ。町内のお附合いですもの、」と野枝さんはいった。
能く大杉は夜警に出ると思ったが、実際毎晩ステッキを持って、自宅の曲り角へ夜警に出ていたのを見た。
四
鮮人襲来の流言蜚語が八方に飛ぶと共に、鮮人の背後に社会主義者があるという声がイツとなく高くなって、鮮人狩が主義者狩となり、主義者の身辺が段々危うくなった。この騒ぎを余所に大杉は相変らず従容として児供の乳母車を推して運動していた。
「用心しなけりゃイカンぜ」と或時邂逅った時にいうと、
「用心したって仕方がない。捕まる時は捕まる」と笑っていた。後に聞くと、大杉に注意したものは何人もあったが、事実この頃の大杉は社会運動からは全く離れて子守ばかりしていたから、危険が身に迫ってるとは夢にも思ってないらしかった。