Japanische Klassiker mit Furigana
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ふたばていよだん
新編 思い出す人々
内田 魯庵
Lesen Sie 新編 思い出す人々 (ふたばていよだん) von 内田 魯庵 (うちだろあん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.401 Zeichen · 427 Bildschirme
二、三日経つと大杉が検挙されたという風説が立った。その前にも地方から来た或る男が、大杉は拘留されて留置檻へ入れられたまま火事で焼死んだそうだネというから、大杉は直ぐこの近所にいて、毎日乳母車を押して運動しているといって無根の風説を笑った事があるので、復た例の風説かと一笑に附していた。
するとその翌る晩、十一時過ぎに安成が来て、「大杉が行方不明となりました、」と痛く昂奮して、「十六日鶴見へ行ったぎりで帰って来ません。家でも心配して八方捜しているがサッパリ踪跡が解りません。検挙されたなら検挙されたでドコかの警察にいそうなもんですが、ドコの警察にもいません。警察では検挙したものを検挙しないと秘す事は絶対にないので、全く警察にはいないようです、」と満面不安の色を湛えて昂奮して話した。
血腥い噂がそこら中に広がってる時である。女のような美術家が袋叩きにされて半死半生になったという噂も聞いている。温厚玉のような君子が歴とした官職の肩書附きの名刺を示しても聞かれないで警察へ拘留されたという話も聞いている。ましてや大杉のような官憲からも睨まれ民衆の一部からも呪われてる人間は何時どんな処で奇禍を買わないとも限らんから、行方不明になったと聞くと不安に堪えられなかった。