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Japanische Klassiker mit Furigana

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ふたばていよだん

新編 思い出す人々

内田 魯庵

Lesen Sie 新編 思い出す人々 (ふたばていよだん) von 内田 魯庵 (うちだろあん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.401 Zeichen · 427 Bildschirme

Aozora Bunko

今日も魔子は遊びに来るかも知れないが、「魔子ちゃんが来ても魔子ちゃんのパパさんの咄をしてはイケナイよ、」と小さい児供を戒めた。何にも解らない小さい児供たちも何事か恐ろしい事があったのだという顔をして、黙って点頭いていた。

暫らくすると魔子は果して平生の通り裏口から入って来た。家人を見ると直ぐ「パパもママも死んじゃったの。伯父さんとお祖父さんがパパとママのお迎えに行ったから今日は自動車で帰って来るの、」といった。お祖父さんというのは東京より地方へ先きに広がった大杉の変事を遠い郷里の九州で聞いて倉皇上京した野枝さんの伯父さんである。

茶の間へ来て魔子は私の妻を見て復た繰返した。「伯母さん、パパもママも殺されちゃったの。今日新聞に出ていましょう。」

私は児供たちに「魔子ちゃんのお父さんの咄をしてはイケナイよ、」と固く封じて不便な魔子の小さな心を少しでも傷めまいとしたが、怜悧な魔子は何も彼も承知していた。が、物の弁えも十分でない七歳の子である。父や母の悲惨な運命を知りつつもイツモの通り無邪気に遊んでいた。同い年の私の児供は魔子を不便がったと見えて、大切にしていた姉様や千代紙を残らず魔子に与ってしまった。