Japanische Klassiker mit Furigana
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ふたばていよだん
新編 思い出す人々
内田 魯庵
Lesen Sie 新編 思い出す人々 (ふたばていよだん) von 内田 魯庵 (うちだろあん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.401 Zeichen · 427 Bildschirme
門前及び附近の要所々々は物々しく警官が見張って出入するものに一々眼を光らした。折悪しく震災後の交通がマダ常態に復さないので、電車の通ずる宵の中に散会したが、罪の道伴れとなった不運の宗一の可憐な写真や薄命の遺子の無邪気に遊び戯れるのを見ては誰しも涙ぐまずにはいられなかった。大杉の一生を花やかにした野枝さんとの恋愛の犠牲となった先妻の堀保子も、イヤで別れたのでない大杉に最後の訣別を告げに来て慎ましやかに控えていたが、恋と生活とに痩れた姿は淋しかった。(大杉と別れた後の堀保子は大杉は必ず再び自分の懐ろに戻ってくるものと固く確信して孤独の清い生涯を守っていたが、大杉が果敢なくなった後はその希望も絶えて、同棲時代からの宿痾が俄に重って、去年の春終に大杉の跡を追って易簀した。大杉の生涯は革命家の生血の滴たる戦闘であったが、同時に二人の女に縺れ合う恋の三つ巴の一代記でもあった。)
告別式の済んだ跡の大杉の家は淋しかった。遺子を中心として野枝さんの伯父さん老夫妻と大杉の実弟と、大杉の異体同心たる数四の同志に守られていた。刑事の眼は門前に光って看慣れぬものは一々誰何したから、誰もイイ気持がしないで尋ねるものが余りなかった。