Japanische Klassiker mit Furigana
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ふたばていよだん
新編 思い出す人々
内田 魯庵
Lesen Sie 新編 思い出す人々 (ふたばていよだん) von 内田 魯庵 (うちだろあん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.401 Zeichen · 427 Bildschirme
知らないものは芸者でもなし、娘さんでもなし、官員さんの奥様らしくもなしと眼をって美貌と美装に看惚れたもんだ。その時分はマダ今ほど夫婦連れ立って歩く習慣が流行らなかったが、沼南はこの艶色滴たる夫人を出来るだけ極彩色させて、近所の寄席へ連れてったり縁日を冷かしたりした。孔雀のような夫人のこの盛粧はドコへ行っても目に着くので沼南の顔も自然に知られ、沼南夫人と解って益々夫人の艶名が騒がれた。
九段の坂下の近角常観の説教所は本とは藤本というこの辺での落語席であった。或る晩、誰だかの落語を聴きに行くと、背後で割れるような笑い声がした。ドコの百姓が下らぬ低級の落語に見っともない大声を出して笑うのかと、顧盻って見ると諸方の演説会で見覚えの島田沼南であった。例の通りに白壁のように塗り立てた夫人とクッつき合って、傍若無人に大きな口を開いてノベツに笑っていたが、その間夫人は沼南の肩を叩いたり膝を揺ったりして不行儀を極めているので、衆人の視線は自然と沼南夫妻に集中して高座よりは沼南夫妻のイチャツキの方に気を取られた。沼南の傍若無人の高笑いや夫人のヒッヒッと擽ぐられるような笑いが余り耳触りになるので、「百姓、静かにしろ」