Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ふたばていよだん
新編 思い出す人々
内田 魯庵
Lesen Sie 新編 思い出す人々 (ふたばていよだん) von 内田 魯庵 (うちだろあん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.401 Zeichen · 427 Bildschirme
なき哀悼悲痛の中に囲繞かれて眠るが如くに最後の息を引取った。
五月十五日新嘉坡に着いた。近藤事務長は土地の有志と計りて、事務長以下十数人、遺骸を奉じて埠頭を去る三哩なるパセパンシャンの丘巓に仮の野辺送りをし、日本の在留僧釈梅仙を請じて慇ろに読経供養し、月白く露深き丘の上に遥かに印度洋の鞳たる波濤を聞きつつ薪を組上げて荼毘に附した。一代の詩人の不幸なる最後にふさわしい極めて悲壮沈痛なる劇的光景であった。空しく壮図を抱いて中途にして幽冥に入る千秋の遺恨は死の瞬間までも悶えて死切れなかったろうが、生中に小さい文壇の名を歌われて枯木の如く畳の上に朽ち果てるよりは、遠くヒマラヤの雪巓を観望する丘の上に燃ゆるが如き壮志を包んだ遺骸を赤道直下の熱風に吹かれつつ荼毘に委したは誠に一代のヒーローに似合わしい終焉であった。
遺骨が新橋に帰着したは五月三十日で、越えて三日葬儀は染井墓地の信照庵に営まれた。会葬するもの数百人。権門富貴の最後の儀式を飾る金冠繍服の行列こそ見えなかったが、皆故人を尊敬し感嘆して心から慟哭し痛惜する友人門生のみであった。初夏の夕映の照り輝ける中に門生が誠意を籠めて捧げた百日紅樹下に淋しく立てる墓標は池辺三山の奔放淋漓たる筆蹟にて墨黒々と麗わしく二葉亭四迷之墓と勒せられた。