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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんぺんちゅうしんぐら

新編忠臣蔵

吉川 英治

Lesen Sie 新編忠臣蔵 (しんぺんちゅうしんぐら) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 337.181 Zeichen · 676 Bildschirme

Aozora Bunko

彼にはまだどうしても、君侯の気持になってみることができなかった。――涙が出ないのである、涙を感じるのは、七石、十石の小禄を食みつつ、老母や病人や妻子を養っている軽輩のいじらしい家族たちに対して、より強く悲しみを揺すぶられる。

第三の報告、第四の報告と、江戸表の情報がもっと審さにあつまれば、主君のお気もちも、相手方の吉良との関係も、十分にわかってくるに違いない。――然し彼はまず、絶対な自己の正義観と、士道の常識から見て、今度の主君の為された行動を、世上に向って相済まないことと、主君に代って詫びたい気もちでいっぱいであった。また、貧しい軽士や足軽たちの妻子に対してもである。

わけて、身が竦むような気がするのは勅使に対しての不敬である。こればかりは、弁疏の余地がない。赤穂一藩の生命をあげて召され、刈屋一城をうずめて墓としても、なお罪を償うに足りないほど畏れを感じるのであった。

『小野寺十内に会わぬうちは、この儀も安堵がならぬ。ああ、十内に、はよう会いたいものだが……』

濠の唐橋に立って、彼は水面を見ていた。ぶつぶつと泡だつ潮が、水門の方から上げてくる。