Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんぺんちゅうしんぐら

新編忠臣蔵

吉川 英治

Lesen Sie 新編忠臣蔵 (しんぺんちゅうしんぐら) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 337.181 Zeichen · 676 Bildschirme

Aozora Bunko

『ははあ、物見か』

『海にも見えた』

『そうじゃろう。讃州丸亀の京極、阿波徳島の蜂須賀、姫路の本多、伊予の松平など、海には兵船をつらね、国境には人数を繰出し、この赤穂領を長城の壁のように囲んで、鏃や砲筒を御家中へ向けている』

『戦だね、和尚さま』

『さあ、この雲行き次第ではな』

主税は、弟と良雪の話している間、黙って微笑していたが、良雪の手もとを眺めて、

『正福寺様はそこで、何を採っているのですか』

と、訊ねた。

『わしかい』

良雪は、爪の中に入った土をながめながら、

『芹を摘んでいるのじゃがよ、この辺りには蓼ばかりじゃい』

『お要用なら、私たちも手伝うて、摘んであげましょうか』

『いやいや、もうええ。そんなには要らんのじゃ。大石大夫は居らるるじゃろうな』

『父は屋敷におりますが』

『この間からいちど訪ねとう思ってな、やっと出向いて来たのじゃよ。いつも御馳走になるで、きょうは肴だけは持参しようと、芹摘みを始めたが、芹は少い、蓼ばかりじゃ。赤蓼が、ほれ、そこにも彼方にも』

云いながら腰を伸ばす。そして歩きだすと又、

『あるなあるな、赤蓼が。――何うして赤穂にはこんなに赤蓼が多いか知っているか』