Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しんぺんちゅうしんぐら
新編忠臣蔵
吉川 英治
Lesen Sie 新編忠臣蔵 (しんぺんちゅうしんぐら) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 337.181 Zeichen · 676 Bildschirme
誰に聞いても知る者はなかった。辰造の関口作兵衛は狼狽して、その夕方、仕事場の帰り途に、丈八の言葉を思い出して毘沙門堂へ寄ってみた。
額堂の北の柱を見ると、釘の先で、「鵺を射る」と落書がしてある。――仰向いて、そこにある幾つもの絵馬を見ると、源三位頼政の図を描いた一つの額がある。踏台をさがして来て、手をのばしてみた。蝶に結んだ紙片がある、解いてみると、木村丈八の手蹟だ。
山科のお旦那、遽に赤穂表へ用ありげに出立、お供して参る。吉左右、後より。
十八尺
と書いてある。
『赤穂へ行ったのか……』
関口作兵衛はつぶやいて、額堂を降りて来た。もう宵闇の空に白い星のまたたいている頃だし、そう参詣人もない境内なので、気をゆるしていたので、彼はよけいに恟ッとした。若い浪人者が二人、じっと、此方の挙動を下で見ていたらしいのである。
すぐ――関口作兵衛の手は自分の口へ走った。掌の中に握っていた丈八の手紙を、噛みつぶそうとしたのだ、けれどその手が動くよりも迅く、浪人の一人が、
『此奴っ』
と、その腕頸をつかんだ。
出す気もなく関口作兵衛の体から武道の練磨が出てしまった。掴まれた腕頸をぐっと下げて、大きな気搏を与えると、浪人の体は、大地へ背をたたきつけていた。