Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぺんちゅうしんぐら
新編忠臣蔵
吉川 英治
Lesen Sie 新編忠臣蔵 (しんぺんちゅうしんぐら) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 337.181 Zeichen · 676 Bildschirme
短い自己の一生だけを存分に好き勝手に生きてしまったら、国土はそうなる他はない。
又、個人的に思ってみても、刹那的快楽や、虚無に尽きる放縦が、どれほど生涯につづくか、その突当りは、滅失の穴にきまっているのだ、何の人間らしい生命の光や幸福を感じる深さがあろう。
『――連れて戻りました、只今』
小侍が息を喘って、次の襖際でその時云った。
伝八郎は、思うともなく思い耽っていた眉を、その声にはっと昂げて、
『間に合ったか』
『はい、御火之見の下まで、駈けて参りましたところ、幸に追いつきましたので……』
『大儀だった』
『ではこれを、すぐに突っ返してくれましょう』
と、赤穂塩の折箱を抱えて立ちかけると、
『あ……待て待て。……実はわしの失念だった。その御仁には面識もあり、常々会いとう思っていたところ。あちらの部屋へ、丁寧にお通し申し上げてくれい』
武士の塩
『……以来、一度は、あの節の御温情に対しまして、お礼に推参いたしたいと、明け暮れ心にかけながら、浪々の身の生活に追われ、お恥かしながら、御無音の罪、何とぞお宥し下しおかれますように』
片岡源五右衛門は、そう云って、伝八郎のすがたを懐しげに見入ると共に、人間のあらわし得る最大な感謝を眸にこめていた。