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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんぺんちゅうしんぐら

新編忠臣蔵

吉川 英治

Lesen Sie 新編忠臣蔵 (しんぺんちゅうしんぐら) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 337.181 Zeichen · 676 Bildschirme

Aozora Bunko

『健気よのう』

富子夫人は、そっと涙をふいた。

『おん身といい、左兵衛佐といい、子には恵まれておいで遊ばすが……』

と、何か又、良人の上野介の愚痴を云いかけたが、上杉家の近習たちを憚って、

『怪我をしやるな。――アア、とうとう、こんなことになったか……』

嘆息してつぶやく老母へ、

『お気づかいなされますな』

弾正大弼は、跫音あらく、大廊下へ踏み出して、

『駒の支度っ』

と、さけんだ。

近習のささげる青貝柄の長刀を、引っ奪くるように小脇にかかえ、ばらばらっと表方へ跫音を踏み鳴らしてゆくと、

『あっ、いずれへ』

江戸家老の色部又四郎重政が、遅ればせに駈けて来て、土気いろの顔を見せた。

『云う迄もない事じゃ。そちは、留守をかためい』

『しばらく』

『何かっ』

『殿御自身のお出ましは、容易ならぬ儀と存じまする。何とか家中の者をおつかわしなされて、まず、様子を御覧あそばした上でも』

『だまれ。そのような悠長の事がなる場合か否か、分らぬか』

どどどど――と得物を持った侍たちが、奥からそこへ続いて来る。玄関にも、庭先にも、槍長刀がひしめいて、

『扶持ばなれした野良浪人の暴挙、どれ程の事があるものか』