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Japanische Klassiker mit Furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(一)

岡本 綺堂

Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.540 Zeichen · 319 Bildschirme

Aozora Bunko

あなたの方さえ御用がなけりゃあ、ちょっと寄っていらっしゃい」

渡りに舟というのは全くこの事であった。わたしは遠慮なしにそのあとについて行くと、老人は先に立って格子をあけた。

「老婢。お客様だよ」

私はいつもの六畳に通された。それから又いつもの通りに佳いお茶が出る。旨い菓子が出る。忙がしい師走の社会と遠く懸け放れている老人と若い者とは、時計のない国に住んでいるように、日の暮れる頃までのんびりした心持で語りつづけた。

「ちょうど今頃でしたね。京橋の和泉屋で素人芝居のあったのは……」と、老人は思い出したように云った。

「なんです。しろうと芝居がどうしたんです」

「その時に一と騒動持ち上がりましてね。その時には私も少し頭を痛めましたよ。あれは確か安政午年の十二月、歳の暮にしては暖い晩でした。和泉屋というのは大きな鉄物屋で、店は具足町にありました。家中が芝居気ちがいでしてね、とうとう大変な騒ぎをおっ始めてしまったんです。え、その話をしろと云うんですか。じゃあ、又いつもの手柄話を始めますから、まあ聴いてください」

安政五年の暮は案外にあたたかい日が四、五日つづいた。