Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.540 Zeichen · 319 Bildschirme
この間にお粂は奥へはいって又出て来た。文字清という女は彼女に案内されて、神経の尖ったらしい蒼ざめた顔を半七のまえに出した。文字清はこめかみに頭痛膏を貼って、その眼もすこし血走っていた。
「兄さん。早速ですが、この文字清さんがお前さんに折り入って頼みたいことがあると云うんですがね」
お粂は仔細ありそうに、この蒼ざめた女を紹介した。
「むむ。そうか」と、半七は女の方に向き直った。「もし、おまえさん。どんな御用だか知りませんが、私に出来そうなことだかどうだか、伺って見ようじゃありませんか」
「だしぬけに伺いましてまことに恐れ入りますが、わたくしもどうしていいか思案に余って居りますもんですから、かねて御懇意にいたして居ります文字房さんにお願い申して、こちらへ押し掛けに伺いましたような訳で……」と、文字清は畳に手を突いた。「お聞き及びでございましょうが、この十九日の晩に具足町の和泉屋で年忘れの素人芝居がございました」
「そう、そう。飛んだ間違いがあったそうですね」
和泉屋の事件というのは半七も聞いて知っていた。和泉屋の家じゅうが芝居気ちがいで、歳の暮には近所の人たちや出入りの者共をあつめて、歳忘れの素人芝居を催すのが年々の例であった。