Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.540 Zeichen · 319 Bildschirme
おまきは若いときから猫が好きであったが、それが年をとるにつれていよいよ烈しくなって、この頃では親猫子猫あわせて十五六匹を飼っていた。勿論、猫を飼うのは彼女の自由で、誰もあらためて苦情をいうべき理由をもたなかった。そのたくさんの猫が狭い家いっぱいに群がっているのが、見る人の目には薄気味の悪いような一種不快の感をあたえることがあっても、それだけではまだ飼主に対して苦情を持ち込む有力の理由とは認められなかった。併したくさんの動物は決して狭い家の中にばかりおとなしく竦んではいなかった。彼等はそこらへのそのそ這い出して、近所隣りの台所をあらした。おまき婆さんが幾ら十分の食い物を宛がって置いても、彼等はやはり盗み食いを止めなかった。
こうなると、苦情の理由が立派に成り立って、近所からたびたびねじ込まれた。その都度おまきも詫びた。七之助もあやまった。併しおまきの家のなかの猫の啼き声はやはり絶えないので、誰が云い出したとも無しに、彼女は近所の口の悪い人達から猫婆という綽名を与えられてしまった。本人のおまきはともあれ、七之助は母の異名を聴くたびにいやな思いをさせられるに相違なかった。