Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.540 Zeichen · 319 Bildschirme
槇原は又きいた。
「なぜ又、若殿をそんなところに隠して置くんだろう。一体、誰がそんなことを考えたんだろう」
「それは奥様のお指図のように聞いています」
「奥様……」と、角右衛門はいよいよ呆れた。
すべてが余りに案外なので、いろいろの経験に富んでいる槇原も煙にまかれたらしく、大きい眼を見はったままで木偶のように黙っていた。半七はつづいて説明した。
「まことに失礼でございますが、お屋敷は朝顔屋敷……朝顔を大層お嫌いなさるように承って居ります。そのお屋敷のお庭にことしの夏、白い朝顔の花が咲きましたそうで……」
角右衛門は苦い顔をして又うなずいた。
「つまりその朝顔の花が今度の事件の起りでございます」と、半七は云った。
朝顔の花が咲けば必ず家に凶事があるというので、屋敷の人達も顔を陰らせた。主人はあまりそんなことに頓着しない気質であるので、ただ笑って済ませてしまったが、奥方はひどくそれを気に病んで、なにかの禍いがなければよいと明け暮れに案じているうちに、先月の末、些細なことから奥方の神経をおびやかすような一つの事件が出来した。
ある日のことである。若殿大三郎が中間の又蔵を供に連れて、赤坂の親類をたずねた。