Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.540 Zeichen · 319 Bildschirme
奥方には最愛の姫様があって、容貌も気質もすぐれて美しいお方であったが、その美しい姫様は明けて十七という今年の春、疱瘡神に呪われて菩提所の石の下へ送られてしまった。あまりの嘆きに取りつめて母の奥方は物狂おしくなった。祈祷や療治も効がなかった。明けても暮れても姫の名を呼んで、どうぞ一度逢わせてくれと泣き狂うので、屋敷中の者も持て余した。その痛ましさと浅ましさを見るに堪えかねて、用人と老女が相談の末に、姫様によく肖た娘をどこからか借りて来て、姫様に仕立ててお目にかけたらば、奥方のお気も少しは鎮まろうかということになった。併しそんなことが世間に洩れては御屋敷の恥じである。あくまで秘密にこの役目を仕遂げなければならぬというので、二、三人の人が手わけをして心当りを探してあるいた。
その頃の人は気が長い。そうして、根よく探しているうちに、用人の一人が永代橋の茶店で図らずもお蝶を見つけ出した。年頃も顔かたちも丁度註文通りに見えたので、かれは更に奥女中の雪野というのを連れて来て眼利きをさせた。誰の眼もかわらないで、幸か不幸かお蝶は合格した。
いよいよその本人が見付かると、それをどうして連れてくるかということについて、屋敷内では議論が二つに分かれた。