Japanische Klassiker mit Furigana
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れもん
檸檬・ある心の風景 他二十編
Lesen Sie 檸檬・ある心の風景 他二十編 (れもん) von Kajii Motojirō (梶井 基次郎) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.934 Zeichen · 263 Bildschirme
あしたお帰りですか」と訊かれて、信子が間誤ついて「ええ、あしたお帰りです」と言ったという話だった。母や彼が笑うと、信子は少し顔を赧くした。
借りて来たのは乳母車だった。
「明日一番で立つのを、行李乗せて停車場まで送って行てやります」母がそんなに言ってわけを話した。
大変だな、と彼は思っていた。
「勝子も行くて?」信子が訊くと、
「行くのやと言うて、今夜は早うからおやすみや」と母が言った。
彼は、朝も早いのに荷物を出すなんて面倒だから、今夜のうちに切符を買って、先へ手荷物で送ってしまったらいいと思って、
「僕、今から持って行って来ましょうか」と言ってみた。一つには、彼自身体裁屋なので、年頃の信子の気持を先廻りしたつもりであった。しかし母と信子があまり「かまわない、かまわない」と言うのであちらまかせにしてしまった。
母と娘と姪が、夏の朝の明け方を三人で、一人は乳母車をおし、一人はいでたちをした一人に手を曳かれ、停車場へ向かってゆく、その出発を彼は心に浮かべてみた。美しかった。
「お互いの心の中でそうした出発の楽しさをあてにしているのじゃなかろうか」そして彼は心が清く洗われるのを感じた。