Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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えいじつしょうひん

永日小品

夏目 漱石

Lesen Sie 永日小品 (えいじつしょうひん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 50.000 Zeichen · 100 Bildschirme

Aozora Bunko

青年は小作りの面長な質で、蒼白い額の下に、度の高そうな眼鏡を光らしていた。もっとも著るしく見えたのは、彼の近眼よりも、彼の薄黒い口髭よりも、彼の穿いていた袴であった。それは小倉織で、普通の学生には見出し得べからざるほどに、太い縞柄の派出な物であった。彼はこの袴の上に両手を載せて、自分は南部のものだと云った。

青年は一週間ほど経ってまた来た。今度は自分の作った原稿を携えていた。あまり佳くできていなかったから、遠慮なくその旨を話すと、書き直して見ましょうと云って持って帰った。帰ってから一週間の後、また原稿を懐にして来た。かようにして彼れは来るたびごとに、書いたものを何か置いて行かない事はなかった。中には三冊続きの大作さえあった。しかしそれはもっとも不出来なものであった。自分は彼れの手に成ったもののうちで、もっとも傑れたと思われるのを、一二度雑誌へ周旋した事がある。けれども、それは、ただ編輯者の御情で誌上にあらわれただけで、一銭の稿料にもならなかったらしい。自分が彼の生活難を耳にしたのはこの時である。彼はこれから文を売って口を糊するつもりだと云っていた。