Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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えいじつしょうひん

永日小品

夏目 漱石

Lesen Sie 永日小品 (えいじつしょうひん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 50.000 Zeichen · 100 Bildschirme

Aozora Bunko

或時妙なものを持って来てくれた。菊の花を乾して、薄い海苔のように一枚一枚に堅めたものである。精進の畳鰯だと云って、居合せた甲子が、さっそく浸しものに湯がいて、箸を下しながら、酒を飲んだ。それから、鈴蘭の造花を一枝持って来てくれた事もある。妹が拵えたんだと云って、指の股で、枝の心になっている針金をぐるぐる廻転さしていた。妹といっしょに家を持っている事はこの時始めて知った。兄妹して薪屋の二階を一間借りて、妹は毎日刺繍の稽古に通っているのだそうである。その次来た時には御納戸の結び目に、白い蝶を刺繍った襟飾りを、新聞紙にくるんだまま、もし御掛けなさるなら上げましょうと云って置いて行った。それを安野が私に下さいと云って取って帰った。

そのほか彼は時々来た。来るたびに自分の国の景色やら、習慣やら、伝説やら、古めかしい祭礼の模様やら、いろいろの事を話した。彼の父は漢学者であると云う事も話した。篆刻が旨いという事も話した。御祖母さんは去る大名の御屋敷に奉公していた。申の年の生れだったそうだ。大変殿様の御気に入りで、猿に縁んだものを時々下さった。その中に崋山の画いた手長猿の幅がある。