Japanische Klassiker mit Furigana
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えいじつしょうひん
永日小品
Lesen Sie 永日小品 (えいじつしょうひん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 50.000 Zeichen · 100 Bildschirme
旨いのか不味いのか判然とは解らなかった。印譜をしらべて見ると、渡辺崋山にも横山華山にも似寄った落款がない。青年はこれを置いて行きますと云うから、それには及ばないと辞退したが、聞かずに預けて行った。翌日また金を取りに来た。それっきり音沙汰がない。約束の二週間が来ても影も形も見せなかった。自分は欺されたのかも知れないと思った。猿の軸は壁へ懸けたまま秋になった。
袷を着て気の緊まる時分に、長塚が例のごとく金を借してくれと云って来た。自分はそうたびたび借すのが厭であった。ふと例の青年の事を思い出して、こう云う金があるが、もし、それを君が取りに行く気なら取りに行け、取れたら貸してやろうと云うと、長塚は頭を掻いて、少し逡巡していたが、やがて思い切ったと見えて、行きましょうと答えた。それから、せんだっての金をこの者に渡してくれろという手紙を書いて、それに猿の懸物を添えて、長塚に持たせてやった。
長塚はあくる日また車でやって来た。来るや否や懐から手紙を出したから、受け取って見ると昨日自分の書いたものである。まだ封が切らずにある。行かなかったのかと聞くと、長塚は額に八の字を寄せて、行ったんですけれども、とても駄目です、惨澹たるものです、汚ない所でしてね、妻君が刺繍をしていましてね、本人が病気でしてね、――金の事なんぞ云い