Japanische Klassiker mit Furigana
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まきのとみたろうじじょでん
牧野富太郎自叙伝
牧野 富太郎
Lesen Sie 牧野富太郎自叙伝 (まきのとみたろうじじょでん) von 牧野 富太郎 (まきのとみたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 94.045 Zeichen · 185 Bildschirme
と題してあった。これは今から六十六、七年前の明治十四、五年、私が二十歳頃に書いたものである。そして今日これを読んでみると私は実に感慨に堪えないものがある。当時私は飽食暖衣別に何の不自由もなかったのであったから、時来れば必ず仰〔望〕の抱負を悉く実行して見ようと心私かに期待していたに相違ない。春風秋雨半世紀以上を閲た今日に於てこれを閲して見ると、その中でなんぼも実績が挙がっていないのに一驚を喫する。今日これを回想すれば爾来有為の活動時代に私は何をして過ごして来たのか。私はただ何時とはなしに夢の如く今日まで来たような感じがする。私が招きに応じ民間から入って東京大学の理科大学に奉職したのは指折り数えて見ると、実に今から五十四年前の明治二十六年一月であったが、月給僅か十五円、その時分から貧乏をしはじめて思う事が充分に出来なかった。徒らに歳月矢の如く逝きて今は全くの白頭になったが、その間何一つでかした事もないので、この年少時代に書いた満々たる希望に対して転た忸怩たらざるを得ない。
今左にわざとその「赭鞭一撻」の一字一句も改竄せずに、極めて拙文のままその全篇を掲げて、読者諸君の一粲に供えてみよう。