Japanische Klassiker mit Furigana
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りょうきのはて
猟奇の果
江戸川 乱歩
Lesen Sie 猟奇の果 (りょうきのはて) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 134.971 Zeichen · 270 Bildschirme
と、キラリと彼の目を射たものがある。彼にとって何という僥倖であったか、迂闊千万にもそこのテーブルの上に、一挺のピストルが置いてあるではないか。
彼は鉄砲玉の様にテーブルに飛びついて、殆ど無感覚になった手で、一生懸命そのピストルを掴むと、クルリと振向いて、筒口を曲者の胸に向けた。
「こいつは大縮尻だ。うっかりピストルを忘れていましたよ。ハハハハ」
怪物はビクともしない。平気で大手を拡げたままだ。
愛之助は敵の余りに大胆な様子に、ふとあることに気づいてギョッとした。
「さては、貴様。このピストルは空だな」
「ハハハハ、よく気の廻るお人だ。空じゃありません。ちゃんと丸がこめてありますよ。だがあなたピストルを打ったことがありますか。打ち方を御存知ですか。それに、ホラ、あなたの手は中気病みの様にブルブル震えているじゃありませんか。ハハハハ、ピストルなんて、持手によっては、そんなに怖しいもんじゃありませんよ」
「そこをのき給え。のかないと、本当に打つよ」
愛之助は、声を震わすまいと一生懸命になって叫んだ。
「お打ちなさい」
怪物はやっぱりニヤニヤ笑っている。相手に発砲の勇気がないとみくびっているのだ。