Japanische Klassiker mit Furigana
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りょうきのはて
猟奇の果
江戸川 乱歩
Lesen Sie 猟奇の果 (りょうきのはて) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 134.971 Zeichen · 270 Bildschirme
「ハハハハ、分りましたか。これは僕の大切な武器なんです。空のピストルと血のりの膠玉、この二つの道具で、イザという時には、僕は態と相手に撃たれて、胸のシャツの中でこれをつぶして、死んで見せるのです。その方が相手を殺すよりは、安全だし、興味も深いではありませんか。僕が死んだと思って狼狽する相手の様子を眺めてやる丈けでも。ね、ハハハハ」
男はさもさも面白そうに笑いつづけたが、やっと笑いやむと、又饒舌を続ける。
「と云った丈けでは分らないでしょうが、実は昨晩、丁度あの血の痕のついている辺で、僕はあなたの旦那様の為に殺されたのですよ。旦那様はね、目がくらんでいらしったものだから、僕の上手なお芝居にだまされて、本当に殺人罪を犯したと思って、気違いの様になってしまいなすった。そして、やけくそになって、吉原のバアを呑み歩いていらっしゃる所を、僕の部下のものが御連れして、今ある秘密な場所に、おかくまいしてあるのですよ。つまり、ここでその人殺しが行われた痕なのです。併しね、僕が撃たれたのはお芝居でしたが、ここの家ではお芝居ばかりが行われる訳でもないのです。もっと恐ろしいことも、紅でない血の流れることも、ないとは限りません」