Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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りょうきのはて

猟奇の果

江戸川 乱歩

Lesen Sie 猟奇の果 (りょうきのはて) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 134.971 Zeichen · 270 Bildschirme

Aozora Bunko

どうも自然に出た咳ではなさそうだ。

やがて社長の品川氏が現われた。警部は彼の表情から何事かを読取ろうと、目をこらしたが、品川氏はただにこやかに微笑しているばかりだ。決して心に秘密を持つ人の顔ではない。

警部が昨夜の顛末を手短に物語ると、品川氏は忽ち笑いを納めて、震え声になった。

「とうとう現われましたか。相棒がそんな危険分子だとすると、今度は又何か、ひどく大がかりな悪企みを始めたんじゃありますまいか」

だが、彼はただ驚き恐れるばかりで、彼自身の昨夜のアリバイを語ろうとはしない。老練な波越氏は、心の中で、

「オヤ、変だぞ、若しこいつが一人二役を勤めている悪人だったら、何はおいても、第一にアリバイの云い訳をする筈だが、そんな気ぶりのないのは、やっぱり明智君の考え過ぎかな」

と思った。で、仕方なくこちらから切り出して、

「昨晩は御宅で御寝みだったのでしょうね」

と尋ねて見た。

「エエ、無論宅で寝みましたが……、アアそうですか。成程成程、私、ウッカリして居りました」

品川氏は一寸不快な顔になって、ツカツカとドアの所へ立って行き、それを開いて編輯所の方へ声をかけた。