Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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りょうきのはて

猟奇の果

江戸川 乱歩

Lesen Sie 猟奇の果 (りょうきのはて) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 134.971 Zeichen · 270 Bildschirme

Aozora Bunko

やマークトウエンの『乞食王子』みたいなことがないとも限らぬ。あの紳士はひょっとしたら真実その……忍び姿じゃあるまいかとね。そして、僕は高座よりは、その紳士の動作にばかり目をつけていたものだ。これは無論僕の妄想で、よく似た別人に極っているが、そんな……に生写しの人さえいるんだから、世の中に全く同じ顔の人間がいないとは、断言出来ぬと思うよ」

「そう云えばね、僕も実は経験がないでもないのだよ」

品川四郎は、少し青ざめた頬を、ピリピリと痙攣させながら、内密話の様な低い声で云うのだ。

「もう三年にもなるかな、大阪の道頓堀でね、人にもまれて歩いていると、うしろから肩を叩く奴があるんだ。そして、ヤア何々さんじゃありませんか、暫くでしたね、というんだ。無論僕の名前じゃないのだよ。で、人違いでしょうと云っても中々承知しない。そして、ホラ、何々会社で机を並べていたじゃありませんかなんて、僕に思い出させようとするんだが、僕はその何々会社なんて、名も知らないのだ。結局不得要領で分れたが、それがやっぱりこの世のどこかにいる、もう一人の僕のことだったかも知れないね」

「ホウ、そんなことがあったの。