Japanische Klassiker mit Furigana
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りょうきのはて
猟奇の果
江戸川 乱歩
Lesen Sie 猟奇の果 (りょうきのはて) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 134.971 Zeichen · 270 Bildschirme
に、暗中の人影に目をこらし、耳をすました。
ボーッと白く二つの顔が見える。だが、服装も顔の形も全く分らない。ただ声だけが手に取る様だ。彼等は人がいないと安心して普通の声で話している。
「では暫くお別れです。今夜東京へ帰れば当分来られませんから」
男の声が云う。
「宿でおっしゃったこと、お忘れなくね」女の声が甘える。「あの家へ御手紙を下さるわね。せめて御手紙でも度々下さらなきゃ、あたし我慢が出来ませんわ」
「エエ、精々どっさりね。あなたも忘れちゃいけませんよ。じゃ、これでお別れにしましょう。もう汽車の時間だから」
ボーッとして白いものが、双方から近寄って、ピッタリと密着した。長い長い間密着していて、やっと離れた。
「あたし、家に帰るのが、何だか怖くって。……」
「あの人にすまんと云うのでしょう。又始まった。大丈夫ですよ。決して感づきゃしませんよ。先生僕が名古屋へ来ているなんて、まるで知らないのですからね。それに今夜は帰りが遅い筈じゃありませんか。サ、早く御帰りなさい。あの人より先に帰っていないと悪いですよ」
不良青年ではない。言葉の様子では相当の紳士である。