Japanische Klassiker mit Furigana
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りょうきのはて
猟奇の果
江戸川 乱歩
Lesen Sie 猟奇の果 (りょうきのはて) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 134.971 Zeichen · 270 Bildschirme
強いて云うならば、廃頽安来節と、木馬館と、木馬館及水族館の二階の両イカモノと、公園の浮浪者群と、そしてこのストリート・ボーイ達とが、僅かに浅草の奇怪なる魅力の名残りをとどめているのだ、そういうものの醸し出す空気が、やっと二月に一度位の程度で、彼の足を浅草へ向けさせた。
青年はじっと、愛之助を見つめていた。紺がかった春服を着て、同じ色の学帽の様な一種の鳥打帽子の、深いひさしの下から、闇の中に柔軟な線の、ほの白い顔が浮上っていた。美しい若者だ。
愛之助は決してペデラストではないので、嬉しくもなかったが、併し、別に不快を覚える程でもなかった。
「蛇の様に冬眠が出来るといいなあ」
突然、すぐ側でそんなかぼそい声が聞えたので、見ると、目の前のベンチに若い栄養不良な自由労働者がいて、隣りの少し年取った同じ様な乞食みたいな男に、話しかけていたのだった。
「冬眠て何だよ」無学な年長者が力のない声で尋ねた。
「冬中、地の底で、何にも食わないで眠っていられるんだ」
「何にも食わないでかね」
「ウン、蛇の身体は、そんな風に出来ているんだ」
そして、二人とも黙ってしまった。静かな池の中へポチャンと小石を抛り込んだ様な会話だ。