Japanische Klassiker mit Furigana
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すさのおのみこと
素戔嗚尊
Lesen Sie 素戔嗚尊 (すさのおのみこと) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 42.917 Zeichen · 86 Bildschirme
二人はそこで長い間、古沼に臨んだ柳の枝が、銀のような花をつけた下に、いろいろな事を話し合った。
「近頃はあなたの剛力が、大分評判のようじゃありませんか。」
しばらくしてから思兼尊は、こう云って、片頬に笑を浮べた。
「評判だけ大きいのです。」
「それだけでも結構ですよ。すべての事は評判があって、始めてあり甲斐があるのですから。」
素戔嗚にはこの答が、一向腑に落ちなかった。
「そうでしょうか。じゃ評判がなかったら、いくら私が剛力でも――」
「さらに剛力ではなくなるのです。」
「しかし人が掬わなくっても、砂金は始から砂金でしょう。」
「さあ、砂金だとわかるのは、人に掬われてからの上じゃありませんか。」
「すると人が、ただの砂を砂金だと思って掬ったら――」
「やはりただの砂でも砂金になるでしょう。」
素戔嗚は何だか思兼尊に、調戯われているような心もちがした。が、そうかと思って相手を見ても、尊の皺だらけな目尻には、ただ微笑が宿っているばかりで、人の悪そうな気色は少しもなかった。
「何だかそれじゃ砂金になっても、つまらないような気がしますが。」
「勿論つまらないものなのですよ。それ以上に考えるのは、考える方が間違っているのです。