Japanische Klassiker mit Furigana
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すさのおのみこと
素戔嗚尊
Lesen Sie 素戔嗚尊 (すさのおのみこと) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 42.917 Zeichen · 86 Bildschirme
「はてな。剣の音なぞもするようだが。」
老人はこう呟きながら、しばらくはそこに伸び上って、絶えず金粉を煽っている火事の煙に見入っていた。
するとほどなく部落から、逃げて来たらしい七八人の男女が、喘ぎ喘ぎ草山へ上って来た。彼等のある者は髪を垂れた、十には足りない童児であった。ある者は肌も見えるくらい、襟や裳紐を取り乱した、寝起きらしい娘であった。そうしてまたある者は弓よりも猶腰の曲った、立居さえ苦しそうな老婆であった。彼等は草山の上まで来ると、云い合せたように皆足を止めて、月夜の空を焦している部落の火事へ眼を返した。が、やがてその中の一人が、楡の根がたに佇んだ老人の姿を見るや否や、気づかわしそうに寄り添った。この足弱の一群からは、「思兼尊、思兼尊。」と云う言葉が、ため息と一しょに溢れて来た。と同時に胸も露わな、夜目にも美しい娘が一人、「伯父様。」と声をかけながら、こちらを振り向いた老人の方へ、小鳥のように身軽く走り寄った。
「どうしたのだ、あの騒ぎは。」
思兼尊はまだ眉をひそめながら、取りすがった娘を片手に抱いて、誰にともなくこう尋ねた。
「素戔嗚尊がどうした事か、急に乱暴を始めたとか申す事でございますよ。