Japanische Klassiker mit Furigana
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そうもくちゅうぎょ
艸木虫魚
薄田 泣菫
Lesen Sie 艸木虫魚 (そうもくちゅうぎょ) von 薄田 泣菫 (すすきだきゅうきん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 114.254 Zeichen · 226 Bildschirme
「あ、びっくりした。足の裏がぬるっとして滑りそうだったから、てっきり長虫だろうと思ったが……。」私は後から来る連の男に呼びかけた。「何だってまた、鰻がこんなところにまごまごしているんだろう。」
「すっかり秋だな。もう落鰻の時節に入ったのだ。」
連の男はそこらをのたくっている鰻に落した眼をあげて、暗い空を見た。
空には星がきらびやかに瞬いて、銀河が白く帯のように落ちかかっていた。
「秋だな。」
と、連の男はも一度繰返していって、秋になると鰻は卵を産みに、山の上の湖から、高原の池から、沼から、小流から、てんでに這い出して来て、あらゆる困難に堪えつつ、河を下って海に入り、長い旅を続けて、遠くフィリッピンあたりまで行くらしいが、その生活の細々したことは、まだはっきり判らないのだというようなことを話して聞かせてくれた。
「奴さん、もうそろそろ旅に出たくなって、そこらの池から、闇にまぎれてぬけ出して来たのさ。」
「へえ、それじゃ、お前もそんな長旅をしている一人なのか。そうとは知らないで、草鞋で踏みつけてすまなかったな。」
私は砂まみれになった身体のどこかに、傷でも負わせはしなかったろうかと、気がかりになって、提灯の明りでそこらを捜し廻ったが、鰻はもう地べたに姿を見せなかった。