Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十)金色の処女
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(十)金色の処女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 137.868 Zeichen · 278 Bildschirme
与作の話は巧妙を極めました。時々は仕方まで入って、さていよいよ話が済むと、たった一つ残った、最後の灯も消されてしまいます。
「あッ」
誰やら悲鳴をあげた者があります。
部屋の中は真っ暗、誰がどこに居るかさえ判りません。男達はこの後で出るはずの御馳走酒が楽しみで我慢をし、女達は、逃出そうにも出口を塞がれて、どうすることも出来ないままに、不気味さを我慢して、成行きを眺めております。
恐怖が発火点に達した頃、――
「あッ――怖いッ」
誰やらが悲鳴をあげました。どこからともなく、薄灯がポーッと射した高座の下のあたり、鼠色の着物を裾長に着た、変な者がヒョロヒョロと立っているではありませんか。
ゆらりと頭をあげると、一杯に振り冠った乱髪の間から、鉛色の顔が少し見えます。
「わーッ」
部屋の中からまた悲鳴があがりました。続く大混乱、三十人あまりの人間が、出口を探して三方に渦を巻き、互に肩を突き、足を押え、袖を引き、無我夢中の大騒動です。
その騒ぎの中にお化けは、フラフラと歩き出しました。胸のあたりに手を泳がせたお極りのポーズで、高座の前から客席の中へ、何の遠慮もなく乗出して来るのです。