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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十)金色の処女

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(十)金色の処女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 137.868 Zeichen · 278 Bildschirme

Aozora Bunko

番所へ行ってみると、船頭三吉の腹巻から百両の小判と血脂の浮いた出刃庖丁と、それから、厳重に縄を打ったままのお蔦が留め置かれております。

水船から這い上がって、半身ぐしょ濡れのまま縛られたのでしょう、腰から下は生湿りのまま、折目も縫目も崩れて、筵の上にしょんぼり坐ったお蔦は、妙に平次の感傷をそそります。

妹のお絹によく似た細面、化粧崩れを直す由もありませんが、生れながらの美しさは、どんな汚な作りをしても、蔽う由もなかったのでしょう。うな垂れた緑の眉から、柔かい頬のあたりが霞んで、言いようもない痛々しい姿です。

「お前は左利きかい」

平次の最初の問は唐突でした。

「いえ」

わずかに顔を挙げるお蔦。

「傷は右手首のようだが、――どうしてそんな怪我をしたんだ」

「自分の持った出刃庖丁で切ったのさ、解り切ったことじゃないか」

万七は苦々しく遮ります。

「右手に持った出刃庖丁で、右手首を切るはずはない」

平次のそう言う言葉に力を得たものか、

「お燗番の卯八さんが、碇綱を切って投げた庖丁が当ったんです」

お蔦は顔を挙げてはっきり言うのでした。

「本人はあんな事を言うがね」