Japanische Klassiker mit Furigana
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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
Lesen Sie 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 213.575 Zeichen · 424 Bildschirme
書きながら自分の少年期や老躯の中の童心がよび起こされるからだと思う。
その牛若も育ってゆくにつれてむずかしい。作家の仕事には変な結果が宿命してくる。自分の筆から生ませ、筆で成長させたものが、ついにはその作家の筆でも、どうにも勝手に動かせないような存在になって来るのである。なぜなら、作家が血肉をそそぐ真実の強いほど、その作家の前には、もう立派に性格や思想を持った一個の人格として対象して来るからだ。考えれば気味のわるいことである。
私事をいってすまないが、おととしの六月生まれた香屋子というぼくの末の子が、ちかごろ、机の邪魔に来て、ぼくの膝にのったり、参考書などを掻きちらして閉口している。
去年、「新・平家」の第一巻が、初めて刊行になり、その初刷りの一巻が、出版局の人々の手で届けられた日が、偶然、香屋子の初めての誕生日だった。それから二年目の誕生日に六巻が出て、いま七巻になっている。
考えてみると、週刊朝日に「新・平家物語」の第一回を載せ始めたおととしの春には、まだこの子は生まれていなかった。それが今では、机の上の物を取って、ちょこちょこ逃げ出すようにまで成長している。