Japanische Klassiker mit Furigana
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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
Lesen Sie 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 213.575 Zeichen · 424 Bildschirme
一市長さんが刺を通じてここへも現われる。源泉課税の色紙短冊を健吉画伯とすませ、早めに眠る。例の健吉氏の一筆仏画に。
熊野巫女申さく旅はたのしめよ
朝。この日、晴れ。
熊野三山のひとつ、那智へ向かう。烏帽子、妙法の山ふところ。タクシーの走る村道や山道に、笈ずるを負った文覚上人の姿をえがいてみる。山村の軒傾いた家々の文化が、八百年を、どれほど変っているだろうか。おそらくは、何ほども変っていまい。
三十分ほどで那智。
杉木立の石だんを降りる。夜来の雨に、ものみなまだ濡れている感じ。朝の陽、杉をとおして、右側の社家の、お札売り場を、明るくしている。水色の袴、白衣の若い神職ひとり、ぼくらと知ってか、待ち顔に、迎えてくれた。そして、ぼくらを導いて、那智の滝を真向かいとする奔流の前に立たせ、「ここでは、滝そのものを、御神体としているわけです。自然の美、そのものを、神と観じようとした古人のこころはわかる気がします。原始宗教的だといえばそれまでですが」と、若い神職の説明にはどこかインテリなにおいがある。健吉画伯は「いい。これはいい」と、つよく滝へうなずいている。左歩して見、右歩して見る。