Japanische Klassiker mit Furigana
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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
Lesen Sie 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 213.575 Zeichen · 424 Bildschirme
江口や神崎の君たちに、史筆があれほどまでに及んでいたということは、異例な女性待遇といってよい。
「何か、書き物や寺宝もあるといっていますよ。見せてもらおうじゃありませんか」と砕花氏、寺の玄関から戻って来ていう。寺は堤下の低地、ぼくらは門内の“西行の歌碑”と、遊女の妙の碑を見ていたが、「いますか、坊さんかたれか」と、あとに従いてゆく。
敷石道に、ふた筋、長い布が、木から木へ干し渡してある。洗い張り屋さんのように、本式にハリシンが張ってあった。くぐったり跨いだり、三人通る。本堂は雨戸を閉めたきりらしい。犬にほえられながら、せまい入口で靴をぬぎ、障子をあける。あいにくのおりと、立ちたじろぐ。瀬戸火鉢のそばで、中年の尼さんが二人、おそらく、朝のであろう。食事をしていたところだった。
あわてて、お盆や鍋など片づけ、「どうぞ」と、小ざぶとんを、すすめてくださる。ぼくらがすわると、その部屋は、ちょうどいっぱい。尼さんがたは、隅につつましく、ごもっともな、いぶかり顔をしている。来意は、嘉治さんが説明、砕花氏が、また、先方を、気楽にさせる。
上方ことばの尼さんは、五十がらみ、もひとりは、三十ちょっとか。