Japanische Klassiker mit Furigana
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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
Lesen Sie 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 213.575 Zeichen · 424 Bildschirme
平家の氏ノ社であり、海の神社として知られている厳島の神が、熊本県から宮崎県にわたる九州脊梁の人煙も稀れな山間に村社としてあるというだけでも、流亡平家の末裔たちの実存を想像するのに充分な気がする。
その稗搗節をやがて、はに子が唄う。嫋々哀々、杯をおいて聴くに足る。ぼくら旅情をいだく客は、心をすまして傾聴したものだが、無尽会社社長のHさんは「脂粉の気があって、いけません」という。正論たることは疑いない。「ほんとに、あの山ん中へ行って、椎葉村の年よりや娘たちが、月夜に唄うのを聞かなければ、とてもとても」と、自負のほどをほのめかす。はに子、くやしがって、大いに飲む。由来、飲むこともこの土地では芸能の一つに加えられているらしい。Hさんにからんで、しからば唄っておみせなさいと迫る。社長さん大いに弱るも、日ごろ、家元を自称しているてまえ、とうとうやることになる。一同敬聴。さすがに、脂粉の気はない。だが、拍手と共に、健吉さんがニヤニヤいった。「なるほど、ヒゲツキ節ですなあ」
はに子、よろこびの余りに、トラになり、社長さんとまちがえて、やたらにぼくへ杯をもってくる。