Japanische Klassiker mit Furigana
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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
Lesen Sie 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 213.575 Zeichen · 424 Bildschirme
どうしても、戦争を持たなければならない地球であり人類ならば、世界中の航空基地以上の数の厳島地域が欲しいものだが――などと心でつぶやいてみる。
が、厳島ほどな“美”をぼくらの世間で創造できるだろうか。それは出来もしない。
美も創れない、戦争の心配も止められない。それをリシエの人間論も、恐いことだといいぬくのだ。「――理性をもっていて、非理性的であることは、推理の能力を欠くことより、もっと重大である」と。それから、原爆とか、科学兵器とはいわないが「科学の発展とは、迷信の連続にほかならない。科学的な誤謬は、宗教にくらべてさえ劣らない程にある」と、近代なるものを、罵りぬいて、“人間、愚なる者”――と結論づけ、自嘲もしている彼の書である。そんなきれぎれな言葉が、思い出されているうちに、ぼくらの影は、ひとつの山の上に出た。
「あれが、清盛塚です。――清盛塚は、音戸ノ瀬戸にもありますがね」
と、権宮司さんは指さしていう。ぼくらは、ほっと、一息つく。おお対岸の地御前の灯、五日市あたりの灯、かすかに、広島の方にも灯が見える。
広島の灯は、またたいている。あの無数な光のまたたきは、何を哭くのか。