Japanische Klassiker mit Furigana
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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
Lesen Sie 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 213.575 Zeichen · 424 Bildschirme
たとえば、前々回の総平家が福原へさして退京の途中、天皇が御母に手をひかれて秋草の中へ尿をなさる場面など、ある知人の読者はぼくに、「なにも、天皇にオシッコをさせないでもいいでしょう」と、作為が過ぎていることをなじったが、決して徒な作為を弄したつもりではない。読者の持っている旧観念の偶像を、その事で、打ち壊すために試みた一描写に過ぎないのである。
わが家の香屋子を見ていても、四ツといえばもうなかなか手にも騙しにも乗るものではない。男の子のお六ツでは天皇たりとも、ずいぶん西海落ちの途々には、手を焼かせていたことだろうし、壇ノ浦ではすでに八歳にもおなりだったから、「海の底には龍宮というよい所がありますから」などといっても、おとなしく入水されたとは思われない。古典だと、それはそれなりに文章として読めもするけれど、現代の小説では、智恵に阻まれるからそうはゆかない。近代智というものであろう。子供もマセて来たが大人もマセて来たからである。
古典の筆者はまた、義仲を、非同情というよりもやや揶揄的に書いている。都人が遠隔の野性人を見るときに持つ嘲侮を平家の筆者も持っていた。