Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆきぐにのはる
雪国の春
柳田 国男
Lesen Sie 雪国の春 (ゆきぐにのはる) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.000 Zeichen · 266 Bildschirme
それをどうして知ったか、毎年大阪の工場から、一人につき何円かの歩をもらう募集員がきたり、または前に出た娘に手紙を書かせたりして、年ごろの者をたくさんに連れて行く。大阪からは中形の浴衣で写した写真などがくるのに、山村の生活は荒くしてかつ苦しい。山坂を登ってわずかな畑を作るために、肥料は小さな桶でちゃぶちゃぶと肩にかけて運んであるくと、時として若い嫁娘の黒髪に天下最悪の香水がしたたることもある。こういう中にいちじるしく目に立つのは、おりおり日向の障子を一枚あけて、色の蒼白い者が坐って旅人を見ておることである。この村では若い婦人が死んでいけません。三人や五人ではないのですと、駐在の警吏も惜しそうに語った。一人も残らず何かの繊維工業に働いていた者だというから都市の埃の中に初めから育った者よりも、空気のよい山村の住民は、あるいはかえって抵抗力が弱かったのかもしれぬ。せっかくのいい風景の中へ、死にに帰ってきたのは哀れだが、もしまた中ぐらいの健康で永く村にいたらどうであろうかと、戦慄するような結果が想像せられたのである。
人間が増してどうしても出るのが制止せられぬなら、永く行く先に落ちつくような方法を、ぜひとも考えておいてやらねばならぬ。