Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ゆきぐにのはる

雪国の春

柳田 国男

Lesen Sie 雪国の春 (ゆきぐにのはる) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.000 Zeichen · 266 Bildschirme

Aozora Bunko

髭などを剃っているうちに、外はもう暗くなった。ちゃぶりちゃぶりと水の音をさせて歩く者がある。最初は子供がわざと水溜りを通るのかと思っているうちに、だんだんと音が大げさになる。手摺の上から西東の通りを見ると、町ははや家々の燈火が映るまでになっていた。そのうちに大掃除の時のような音が下でする。畳を揚げ出したのである。空いていた隣の室に、病人づれの下の客が引っ越してきて、ため息をつきながら床を取っている。困った困ったなどという声が聞こえたがやはりほどなく自分とともに、闇を透かして水の様子を見ようとしているのである。向こうの町役場には高張がつき、提灯がおりおり出入りをする。

翌朝眼を覚ますと、もう手水場にも行かれぬようになっていた。町の水は下手から流れてくる。本流が高くなったために、それへ吐き出すはずの水が皆もどってくるのである。いろいろの板切れなどが浮いて上手へ行く。こちらの様子は柳が蔭になってかえって見えないが、向こうの家々は二階の雨戸を少し開いて、いずれも無邪気な小児の顔が、二つ三つずつのぞいている。飲水の手桶を庇の屋根に上げた家もある。坊主頭に鉢巻をした爺が、竹を杖に突き着物を臍の辺までまくって、三度も四度も水の中をあるく。