Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ゆきぐにのはる
雪国の春
柳田 国男
Lesen Sie 雪国の春 (ゆきぐにのはる) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.000 Zeichen · 266 Bildschirme
歴史に溯ってみると、警戒は生存の一要件であって、また団体生活の提供する一大便宜でもあった。雁やイルカは一個の代表者に警戒の責任を負わせ、他は皆寝るから労力の経済のようだがその代わりには時々襲われて打ち殺されかつ食われる。人が森に住んで猛獣までを敵にしていた時世には、静かなる眠りは最大の危険であったから、すなわち火を焚きこれを取り囲んでいろいろの話をして、いわゆる睡魔のきたり侵すを防いだ。人類にこの夜番というものがなかったら、多くのおもしろい伝説は伝わらなかったはずである。南洋のボルネオなどは、赤道直下の常夏の国だが、それでも土人は山に入ると火を焚き、火を焚けば終夜話をして、少しも寝ようとしなかったそうである。そうして昼間一人になると、いたる所にころげ込んで休息するには困ったと、ローレンス博士の『ニューギニア探険記』にも書いてある。
つまり前代のわれわれは永く寝ては大変だから、なるたけ四辺近所を物騒がしくしておいたのである。蚤でも蚊でも必要な機関だ。かつてある老人が若い者に言って聞かせていた。もし蚊というものがいなかったら、お前たちはきっと外でばかり寝て、そうして身体を悪くするだろうと。