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Japanische Klassiker mit Furigana

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ゆきぐにのはる

雪国の春

柳田 国男

Lesen Sie 雪国の春 (ゆきぐにのはる) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 136.000 Zeichen · 266 Bildschirme

Aozora Bunko

くるもののごとく考えたのである。春よ帰ってきたかのただ一句は何度くり返されても胸を浪打たしむる詩であった。嵐、吹雪の永い淋しい冬籠りは、ほとほと過ぎ去った花のころを忘れしめるばかりで、もしか今度はこのままで雪の谷底に閉ざされてしまうのでないかというような、小児に近い不安を味わっていた太古から、引続いて同じ鳥が同じ歓喜をもたらしていたゆえに、これを神とも幸運とも結びつけて、飛び姿を木に刻み壁に画き、寒い日の友と眺める習いがあったのである。そうしてこれとよく似た心持は、また日本の雪国にも普通であった。

すなわちかくのごとくにしてようやくに迎ええたる若春の喜びは、南の人のすぐれたる空想をさえも超越する。例えば奥羽の所々の田舎では、碧く輝いた大空の下に、風はやわらかく水の流れは音高く、家にはじっとしておられぬような日が少し続くと、ありとあらゆる庭の木が一せいに花を開き、その花盛りが一どきに押し寄せてくる。春の労作はこの快い天地の中で始まるので、袖を垂れて遊ぶような日とては一日もなく、惜しいと感歎している暇もないうちに、艶麗な野山の姿はしだいしだいに成長して、白くどんよりとした薄霞の中に、桑は伸び麦は熟していき、やがて閑古鳥がしきりに啼いて、水田苗代の支度を急がせる。